50代の正社員転職

【50代のシニア必見】 60歳定年後のベストな道はどれだ?

企業には65歳までの雇用義務がある


一律定年制を採用している企業の定年年齢は、

  60歳   91.1%
  61歳以上 8.7%
  65歳以上 6.2%

9割以上の企業が60歳で定年です。

2020年3月1日(公布)【高齢者雇用安定法】により、企業には雇用する労働者について65歳までの雇用義務が課せられました。

定年を65歳未満に定めている事業主には、この法律によって「65歳までの定年引上げ」「定年の廃止」「65歳までの継続雇用制度の導入」のいずれかの措置が義務付けられています。

「65歳までの継続雇用制度」には「勤務延長制度」と「再雇用制度」があります。

高齢者雇用安定法(65歳までの雇用義務)
  1. 65歳までの定年引上げ
  2. 定年の廃止
  3. 65歳までの勤務延長制度
  4. 65歳までの再雇用制度

勤務延長制度とは


勤務延長制度とは、継続雇用制度の一つで、従業員本人が継続雇用を希望することで、定年年齢に達した従業員を退職させることなく雇用を延長する制度です。

勤務延長制度は、雇用形態や仕事内容、役職、賃金などの雇用状況をそのままに、勤務する期間だけを65歳まで延長します。

要するに、定年年齢が60歳から65歳に延長される制度です。したがって60歳の時点で退職金は支払われません。

再雇用制度とは


再雇用制度とは、定年年齢に達した従業員を一度退職扱いにし、再び雇用して雇用期間を延長する制度のことです。

高齢者の雇用確保措置を実施している企業の79.3%が導入しています。一律定年制を採用している企業の定年年齢は、60歳定年が 91.1%です。

そのうち79.3%が「再雇用制度」を導入しているということは……。
  0.911 × 0.793 = 72.2%

企業で働く人の「72.2%が再雇用制度を利用」していることになります。すなわち、60歳を迎えた人の進む道、主流は「再雇用制度」になります。

再雇用後の雇用形態は、以下の通りです。

再雇用後の雇用形態(複数回答)
  • 正社員       41.6%
  • 嘱託・契約社員   57.9%
  • パート・アルバイト 25.1%

再雇用制度のメリット・デメリット

再雇用のメリット
  1. 慣れ親しんだ職場で働ける
  2. そのまま仕事を継続できる
    (長年働いてきたた会社だから、
     内面や体質を理解している)
  3. すぐに働き始めることができる
    (休職期間がない)
  4. ゼロから仕事を探す必要がない
  5. 働いた分、厚生年金の受給額が増える
    (老齢厚生年金の加算額に影響する)

再雇用のデメリット
  1. 給料が大幅に下がる
    (定年前の5~6割が多い)
  2. 仕事内容や役職が変わってしまう
  3. 1年契約を更新する有期雇用契約
  4. 5年間限定の仕事
    MAX65歳までしか働けない

再雇用で苦しんでいる人がいる


『中国新聞デジタル』に、再雇用に関する「悲惨な記事」があったので転載しました。

『シニアの悲哀 再雇用「終わった人」なのか』
 中国地方の中堅企業で再雇用の嘱託社員として働く男性(62)は、居心地の悪さを嘆く。慣れない仕事で給料は4分の1。後輩もよそよそしい。「完全に蚊帳の外。40年近く会社に尽くしても、年を取ると『終わった人』扱いです。

 営業畑が長いのに定年後の配属先は経験のない総務系。男性の会社では希望の職場を選べず、行先は人事が決める。

 新しく覚えることは多いが記憶力がついて行かず、老眼でパソコン画面がかすむ。凡ミスして娘くらいの若い子から注意されるのが何とも切ない。「使えない中古人材と思われているんですかね」とため息をつく。

 40代の年下上司との関係も微妙だ。相手はビジネスライクな態度で、雑談もない。よかれと思って自分の体験談を話すと面倒くさそうに流される。

 会議や職場のメーリングリストには入れず、社内情報の共有もできない。飲み会の誘いもなくなった。定年前は同僚とランチを楽しんでいたのに、今は1人。公園のベンチで食べるコンビニ弁当は味気ない。「フルタイムだけに1日が長くて…」と苦笑いする。しかも給料は新入社員以下。最低賃金レベルの時給制でボーナスも出ない。

 それでも会社に残ったのは妻の強い希望だ。住宅ローンの返済は終わったが、3人の子供の教育費にお金を費やし、老後資金は心もとない。現実は厳しい。

 会社はシニアを積極的に再雇用する方針だが「国の要請だから仕方なく、が本音ですよ」。聞けば人件費をひねり出すために若い社員の給与水準を下げるらしい。当然、彼らの不満の矛先は自分たちに向かう。針のむしろの中で、65歳まで我慢できるだろうかー。最近パートでもいいから、社外で職探しをしたいと思い始めた。

【この働き方大丈夫?】第8部 シニアの悲哀<1> 再雇用「終わった人」なのか

https://www.chugoku-np.co.jp/living/article/article.php?comment_id=721495&comment_sub_id=0&category_id=1190

塾長 コンドー

これマジで酷い。中国新聞の記事だからデタラメではないだろうけど、もし本当にこうだったら、再雇用ではなく「単なるリストラ部屋」だよ。60歳を過ぎて未経験の仕事をやらされ、最低賃金レベルの時給制なんてアリエナイ(怒)。知り合いだったら「グズグズしないでサッサと辞めろ」と言ってる。俺がもっといい仕事を見つけてやる!

嫁 ツネさん

ホンマに可哀そうやわー。こんなお勤め先は辞めた方が良ろしおす。あんさん、シニアの方って、そんなにお仕事少ないのどすか?

再雇用をエンジョイしている人もいる


塾長コンドーの実兄の話で恐縮ですが、兄はいま63歳で再雇用期間の真っただ中です。前職がNTTなので「NTT〇〇〇」というNTTの子会社で働いています。

仕事の内容は定年前と同じだそうが、給料が大幅に下がった(半分?)ようです。

最初こそ「同じ仕事なのに給料が下がった」などと愚痴っていましたが、再雇用期間も早や3年目、傍目からだと「再雇用期間を存分にエンジョイ」しているように見えます。

  1. 夕方6時頃に電話すると既に自宅にいる
    (民間企業の感覚ではありえない)
  2. 定期的にNTT時代の仲良しグループと飲みに行っている
  3. 休日は、趣味の大型バイクでツーリング三昧

NTTの前身は「電電公社」です。もともとは「固定電話事業を独占していた公社」であり純粋な民間企業ではありません。

いわゆる独占企業ですから、一般企業と比べて経済的に余裕があり、何事につけノンビリしています。もちろん再雇用制度もユッタリと設計されています。

そのうえ、60歳で定年退職し、すでに退職金も受け取っています。そうした事情もあり「悟りの境地」に入って楽しんでいるようです。

再雇用を拒否した人もいる


中堅商社の管理職だったCさんは、会社が用意した再雇用制度にどうしても納得できませんでした。

仕事は若手の補助になり、給与も半減する。「会社は法律上の義務で仕方なくシニアを雇っている」「シニアの働きに期待なんかしていない」という雰囲気を感じたのです。

人生の大半を費やした会社、その姿勢が許せませんでした

それなら、いっそしがらみのない職場でゼロから働く方がいい。飛び込んだのはフルタイムの営業マン

現役のときの仕事とは全く違う。一年更新の契約社員で、給与も再雇用とほぼ同じ。それでも意欲が湧きました。

毎日、新鮮な気持ちで営業のレジュメを読み込む。年下の同僚も転職者が多く「仲間」として受け入れてくれる。

これらすべてが、過去の地位や収入、仕事内容をリセットできたから得られたのです。

チャレンジしないといい結果はつかめない。Cさんが思い切って転職して実感したことです。

再雇用制度の良し悪しは、
所属する企業次第ということ。

いま勤めている会社の再雇用制度
「その中身」を確認してみよう!

自社の再雇用制度を確認して、
雇用条件があまりに酷い場合
転職・再就職の選択もアリ
(滅多にないと思います)

定年後の3つのコース


ゼネラリスト(専門職以外)の方は、60歳の定年後に3つのコースがありあます。

●定年後に想定されるキャリア3つ

定年後に想定される3つのキャリア
  1. 転職・再就職する
  2. 独立・起業する
  3. いまの会社で働き続ける再雇用
    (約8割の人が選択)

早期退職優遇制度に飛びつくのは非常に危険


転職するにしろ、独立・起業するにしろ、周到な調査・準備を省いて「安易に早期退職優遇制度に飛びつく」のは「最も危険な行為」です。

転職・再就職のハードルは高い


スペシャリスト(専門職)ならともかく、ゼネラリスト(専門職以外)にとって50代の転職・再就職のハードルは高い。非正規雇用の派遣やパートではなく、正社員での転職・再就職となると状況は極めて厳しい。

悪いことは言いません。もし早期退職して転職・再就職を考えているのなら、会社を辞める前に必ず情報収集をしてください。

収集する情報はスキル、経験、適性などではありません。「あなたの年齢の正社員を求めている会社が、どれくらいあるか?」です。

まず、転職サイト・ハローワークなど全部使って「50代に対する正社員求人」がどれくらいあるか確認します。つぎに複数の転職エージェントに登録し、キャリアアドバイザーに相談してみるのです。

残念ながら「正社員で年収500万円」といった求人は、ほぼ無いでしょう。おそらく、年収300~400万円くらい、そういう案件しか出てこないと思います。

因みに、ネットで紹介されている「50代にオススメの仕事」とは何か知っていますか?

 1.警備員
 2.タクシー運転手
 3.介護士

(警備員さん、タクシードライバーさん、介護士さんの仕事を悪く言いたいわけではありません。いずれも社会に必要な仕事で、日々大変お世話になっています)

ゆえに、こうした現実を知らず「俺の実力なら就職先くらいあるさ」なんて甘い考えで、早期退職優遇制度に飛びつくのは非常に危険ただの無鉄砲というものです。

シニアの転職・再就職は年収が大幅にダウンする


50代以降の転職は、よほどの専門的なスキルがない限り、収入の現状維持は困難です。特に大企業に勤める人は大幅な給与ダウン必至。たとえ運よく転職できたとしても、年収が半分以下になる可能性が極めて大きい。

そのうえ、離職後1年以内に次の仕事が決まる割合も55歳以上は4割しかありません。下手をすると1年以上無職になる可能性だってあります。

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起業とは9割が失敗するもの


サラリーマンが「転職や再就職すること」と「独立・起業すること」を比較したら、後者が数段難しいくらい誰でもわかります。

そりゃそうでしょう。「雇われて働くこと」と「何かのビジネスを成立させること」を比べたら、後者が数段難しい。

起業の成功率について「9割が失敗する、1割しか生き残れない」という話を聞いたことはありませんか。

実際に「9割失敗する」かどうかはともかく、起業とは数多くのリスク(不確実性)がつきまとう「リスクの塊」であることは間違いありません。


●帝国データバンクの統計データによる「企業の生存率」

  企業の10年後の生存率 : 70%
  企業の20年後の生存率 : 52%

企業の10年後生存率は7割と、なかなか高い数値です。しかし、このデータは大企業を含んだものです。小規模企業だけにデータを絞れば、7割からさらに下がることが予想されます。

●日経ビジネスによる「ベンチャー企業の生存率」

  起業5年後 : 15.0%
  起業10年後 : 6.3%
  起業15年後 : 0.3%

いまの会社で働く「再雇用」がベスト


いま一度、再雇用のデメリットを確認してみましょう。

  • 給料が大幅に下がる(定年前の5~6割)。昇給はない
  • 仕事内容が変わる可能性があり、役職もなくなる
  • 再雇用されたら、1年毎に契約を更新する非正規従業員
  • 病気になっても休業規定の対象ではなく「翌年の契約更新なし」もありうる
  • プロ野球選手の1年契約と同じような感じ


それでも「再雇用がベストの選択」です。50代で会社を辞めて転職・再就職活動をするなんてとんでもない。それは無謀というものです。

まずは、いま勤めている会社で「再雇用制度を利用した場合の年収」を調べてください。もし年収400万円以上あるなら。そのまま再雇用を利用するのが一番良い

なぜなら、下手に転職・再就職しようものなら、正社員で年収300万円、非正規雇用の派遣やパートなら年収200万円に陥ってしまう可能性大。

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さらに、下手に独立・開業なんてしようものなら「数年で退職金はパー」になり「借金を抱えて一家離散」もありうる。

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ただし、定年後に”やりたいこと”が明確にあるなら「是非やってみるべき!」だと思います。

子供の教育費や住宅ローンも終わっているはずです。借金しないで、退職金を元手に、資金的に無理のないやり方を選択すれば十分に可能です。

人生は短い。「終わりよければ全て良し」と言うじゃないですか。人生の終盤における満足感・充実感が全く違います。そうした「定年後の理想形」がこれです!

60歳定年後からの「理想的な仕事と生き方」を見つけた。それは”ワインづくり”だった!  60歳定年後の「理想的な生き方」を見つけた 最近 yahoo! の記事で、60歳定年後の「理想的な仕事と生き方」を見つけた人に出...